アメリカの大学の学費はどれくらい?
授業料の他にどんな費用が発生するの?
大学のホームページを見たけど学費の見方がよくわからなかった・・・
そんな疑問を抱いている人のために、この記事ではアメリカの大学の学費について詳しく解説していきます。
留学を検討している人にとって学費は留学先の大学選びや、そもそも留学をするかどうかに影響を与える程重要なポイントですよね。しっかり理解を深めていきましょう。
〜私の経歴〜
日本の普通の高校を卒業後、アメリカの大学に進学。
4年後卒業・帰国し、現在は外資系企業にて英語を使った仕事をしています。
学費の各項目
学費に関するポイント・注意点
近年の傾向・最新統計
アメリカの大学の学費に関する『超』基礎知識
cost of attendance(推定年間総支出額)は各大学のホームページで確認可能
大学に通うのにいくらかかるか調べるには、大学のホームページで ”cost of attendance" と検索してみましょう。授業料だけでなく、平均的な生活費・交際費・雑費なども含んだ1年間の推定総支出額が公開されています。
cost of attendanceの主な項目
tuition:授業料
fees:各種費用
housing & food / room & board:部屋 & 食事代
books & supplies:教科書 & 教材費
personal expense:交際費・雑費など
transportation:交通費
学費は学期毎に支払う
学費の支払いは学期毎となり、秋学期と春学期から成るセメスター制(2学期制)の大学では年に2回学費を支払います。大学のホームページで公開されている年間学費を学期数で割った額が各学期で支払う目安金額です。夏・冬休みにも単位を取る場合は別途費用が発生します。
セメスター(semester)制や1年間のスケジュールについて詳しくはこちら
【徹底解説】大学・勉強に関わる3つの費用
cost of attendance のうちのtuition・fees・books & suppliesについて詳しく解説していきます。
授業料:tuition
授業料は学費の1番メインとなる項目です。以下の3つのポイントをおさえておきましょう。
留学生が支払うのはnon-resident / out-of-state料金
公立大学の授業料は、州内在住生徒用の料金(resident tuition)と、州外出身生徒用の料金(non-resident tuition)の2つに分かれています。non-resident tuitionはresident tuitionに比べて2, 3倍程高いですが、州内在住者は州税を支払うことで公立大学の維持に貢献してきたため安いそうです。
留学生はどこの州の大学に通おうとも支払うのはnon-resident tuitionになります。resident料金と全く違うので間違えないよに気をつけましょう。non-residentではなく、out-of-state tuitionと呼んでいる大学も多いです。
resident / in-state tuition
州内在住の生徒に適用される授業料
non-resident / out-of-state tuition
州外出身の生徒(留学生含む)に適用される授業料
non-resident tuitionの表記方法は大学によって違いますが、主に以下の3パターンあります。
③resident tuition+$〇〇 per unitと記載してあるパターン
<例> California State Uni. Los Angels
小さいですが2行目に "Non-residents also pay an additional $396 per unit" と記載されており、base fee (=resident tuition) の$4,123.12に加えて単位数に応じた追加料金を支払うことになります。
例えば15単位取った場合は、$41,123.12+($396x15) = $10,073.12が授業料です。
履修単位数で授業料が変わる大学も
resident・non-residentに関わらず履修単位数に応じて授業料が変わる大学があり、単位を多く取った学期の授業料は高くなります。
反対に履修単位数に関わらず授業料が一定のflat rate制の大学もあります。その場合「18単位以上履修する場合は追加料金が発生」などのルールがあることも珍しくありません。
全体的にはflat rateの大学の方が多数派ですが、collegeでは単位数に応じて授業料が変わる大学も多いです。
学年や学部よって授業料が違う場合も
あまり多くはありませんが、1, 2年生と3, 4年生で授業料が違う大学もあり、授業内容が高度になる3, 4年生の授業料の方が高くなります。
また医学系など、実習やラボが多い学部は他の学部とは授業料が違うことがほとんどです。
<例> University of Alaska, Anchorage
履修単位数&クラスレベルの両方によって授業料が変わる珍しいパターンです。
ちなみにアメリカの大学では全てのクラスにコードがあり、100-200番台は1, 2年生、300-400番台は3, 4年生が履修することが多いです。厳密に決まっているわけではなく、2年生でも300番台のクラスを取ることもありますし、4年生で200番台のクラスをとることもあります。
100, 200番台:基礎・入門レベル
300, 400番台:専攻者向け発展レベル
アメリカの大学での学業や単位について詳しくはこちら
各種費用:fees
feesは各種手数料や大学の施設・サービスの運営・維持等に関連する費用のことです。具体的な項目・料金は大学によって大きく異なりますが、以下のような費用があります。
全学年共通の費用の例
health insurance / health fee
健康保険や、大学内のクリニック・カウンセリングの運営・設備費用
student services / activities fee
student centerや学生向けの各種イベントの運営費用
technology fee
Wi-Fi設備・IT機材・デジタル教材などの導入・維持費用
building / facility fee
校舎・施設・設備のメンテナンスや建替え費用
transportation fee
大学内や大学と街を巡回するシャトルバス等の運営費用
特定の学年で発生する費用の例
first-year student fee
入学に伴う手続き、IDカードの発行、オリエンテーション等の費用(入学年度のみ)
graduation fee
卒業式や卒業証書等に充てられる費用(4年生のみ)
各項目を詳しく公開している大学、feesとして諸経費の合計金額のみを記載している大学、tuition & fees として授業料の1部に組み込んでいる大学など様々です。公開されている場合は、各項目の内容・金額を確認して理解を深めておくと良いでしょう。
international student fee:留学生に適用される費用
多くの大学では留学生はinternational student feeの支払いが別途必要です。留学生向けのオリエンテーションの実施などのために入学時のみに費用が発生するケースや、毎学期支払う費用があるケースなど、大学により異なるので必ず確認しておきましょう。
私の大学では入学時に留学生オリエンテーション費用として$150の支払いがありました。ちなみにオリエンテーションは数日間(現地生徒は1日だけ)で、最寄りの大型量販店が徒歩50分のど田舎だったため生活用品買い出しツアーも含まれていました。
その他にも、以下のような用途の費用負担が毎学期$200ありました。
・留学生の各種手続き
・留学生課のサービス
・留学生向けのニュースレターの発行
・留学生向けの各種イベント運営
入学前後の流れや、やることについて詳しくはこちら
教科書 & 教材費:books & supplies
教科書やその他必要な教材はもちろん毎学期購入が必要です。指定の教科書・教材は初回授業で案内があり、教科書は以下のような方法で入手できます。
教科書の入手方法
大学のbookstoreで購入
大学で借りる
書店やネット(Amazonなど)で購入
友達から借りる
教科書は1冊数十〜数百ドル、平均で1冊約100ドルと決して安くありません。大学でレンタル教科書があれば活用し、購入する場合は大学のbookstoreとAmazonなどの料金を比較したり、デジタル本や中古本の購入も検討しましょう。同じクラスを取っていた友達がいたら、教科書を貸してもらうのも手です。
私の大学では教科書はレンタル制で、全てのクラスの教科書がレンタル可能でした。大学の図書館に教科書専用階があり、学期始めに教科書を借りに行き、学期終わりに返却します。
具体的なレンタルサービス代は公表されていませんでしたが、tuition & feesに費用が含まれていたようです。
【最新情報・統計】アメリカの大学の学費
※以下で様々な数値を提示していきますが、サイトやレポートによって多少違ったため、ご参考程度にお考え下さい。
universityの平均年間学費はcollegeの3倍以上
アメリカには2年制のcollegeと4年制のuniversityがありますが、学費はcollegeの方が大幅に安く、平均non-resident tuitionは公立collegeで$8,415、公立universityで$27,457という調査結果もあるようです。
参考:Average In-State vs. Out-of-State Tuition [2024]: Cost Comparison)
そのため約60%の生徒が、少しでも学費を抑えるために1, 2年目はcollegeに通って一般教養科目を履修し、3年生でuniversityに編入して専攻科目を学ぶ進路を選ぶという統計もあります。
編入のメリット・デメリット、単位移行の注意点について詳しくはこちら
平均学費は$1,000台の州もあれば$6,000台の州も
平均学費は州によっても大きな差があります。2024-2025年度の公立universityの平均non-resident tuitionを比較すると、1番高いのがミシガン州で$60,946、1番低いのがサウスダコタ州の$12,942です。
参考:College Tuition: Understanding Average Costs, Trends, and Financial Aid
もちろんミシガン州の全ての大学が高くてノースダコタ州の全ての大学が安いわけではありませんが、州によって差があることは頭の片隅に入れておくと良いと思います。
また、collegeは具体的な数値を見つけることができませんでしたが、同じように州によって平均額が異なります。
全米平均学費は昨年度比で3.2%上昇
2024-2025年度の全米の平均学費は前年度と比べると3.2%上昇したという調査結果が出ています。ただ、州ごとに見ると例えばネバダ州では3.5%上がったのに対し、アラスカ州では4.9%下がっているなど州差があります。
5年前と比較すると振れ幅はさらに大きくなり、ハワイ州など3州で18.6%下がったのに対し、ニューメキシコ州では16.1%上がっています。
参考:College Tuition: Understanding Average Costs, Trends, and Financial Aid
入学年度の学費が卒業まで固定(支払う金額が卒業まで同じ)の大学もありますが、年度ごとに学費が上下するのに合わせて支払う学費も変動する大学の方が多数派なようです。学費が固定されることは”tuition freeze”と言います。
志望校の学費を調べる際には、学費が固定制か変動性か必ずチェックし、変動制の場合は保護者に学費が上がる可能性があることを伝えておきましょう。
また中には変動制か固定制かを入学時に選べる大学もあり、固定制の授業料の方が高いものの、在学中に思いがけず授業料が上がる心配はありません。
まとめ
学費に関しては覚えておくべき&注意するべきポイントがたくさんあります。学費の請求書を受け取った時に「思っていたより高い」と焦ることがないよう、学費への理解を深め、志望校の学費は特によく調べておきましょう。