留学中は1学期に何単位取るべき?
単位数と大変度の関係は?
履修科目を選ぶ時の注意点は?
アメリカ留学中の履修クラスを決めたいけど、「何単位取るのが良いかわからない」という人は多いと思います。この記事ではアメリカの大学の『単位』について基本から応用まで詳しく解説します。
〜私の経歴〜
日本の普通の高校を卒業後、アメリカの大学に進学。
4年後卒業・帰国し、現在は外資系企業にて英語を使った仕事をしています。
アメリカと日本の単位に関する違い
1学期に取るべき単位数
履修科目を選ぶ時のポイント
みなさまの参考になれば幸いです。
日本と違うアメリカの大学の『単位』に関する基礎知識
授業料は履修単位数に応じて学期ごとに支払う
アメリカでは学期ごとに、履修単位数に応じた授業料を支払います。単位を多く取る学期は授業料が高くなるので注意しましょう。
学年は取得済み単位数で決まる
日本のように「1年ごとに全員そろって進級」はなく、以下のように取得済みの単位数で『学年』が決まります。
アメリカの大学での『学年』の数え方
1年生 (Freshman):〜29単位
2年生 (Sophomore):30〜59単位
3年生 (Junior):60〜89単位
4年生 (Senior):90単位〜
そのため、大学2年目でも単位数によっては1年生や3年生もいます。
取得した単位は他の大学に移行可能
アメリカでは編入制度が整っているので、他の大学(州問わず)に編入が簡単にできるだけでなく、これまでに取得した単位の多くを編入先の大学に移行することができます。
編入パターンとして最も多いのが、collegeで一般教養科目を取ってからuniversityに編入し専攻科目をとるというパターンです。
編入と単位移行について詳しくはこちら
学位取得に必要な単位が取り終わったら卒業
アメリカの大学では学位取得に必要な単位が取り終わったら卒業でき、卒業式も1年に2回行われます。
通常卒業までにcollegeは2年(約60単位)、universityは4年(約120単位)かかりますが、夏休みや冬休みにも単位を取ることでcollegeなら1年半、universityなら3年〜3年半で卒業も可能です。
合計で支払う授業料は変わりませんが、在学期間が短くなることで滞在費や諸経費を抑えられるというメリットがあります。
留学生は1学期に12単位以上の履修が必須
学生(F1)ビザの留学生は、毎学期12単位以上の履修が義務付けられています。
冬休み・夏休みのクラスは任意のため、12単位以下でも問題ありません。
1単位あたり1週間に授業1時間・自習2時間の法則(Credit Hours)
授業は1単位あたり週1時間
1週間の授業時間は、1単位の科目は1時間、2単位は2時間、3単位は3時間です。1回1時間〜1時間半の授業が週に2, 3回ある科目もあれば、2, 3時間の授業が週1回の科目もあります。
宿題の時間は1単位あたり2時間〜
授業時間外で宿題や勉強に充てる時間は1単位あたり週に最低2時間とも言われています。科目や教授にもよるので目安ではありますが、アメリカの大学は宿題がとても多いのは事実です。
ただしこの「2時間」というのは、あくまで現地生徒にとっての時間数なので、英語が第一言語ではない留学生はさらに多くの時間を費やすことになると考えておきましょう。
ちなみに宿題の量は以下をご参考下さい。
毎週
・20〜30ページ分の教科書を読む
・教科書以外の資料を読む
数週間ごと
・小テストの勉強
・エッセイ・リサーチペーパーを書く
・発表やプロジェクトの準備
これを4〜6クラス分
アメリカの大学での勉強について詳しくはこちら
結局1学期に何単位取ったら良いの?
次で詳しく解説するけど、おすすめは12〜15単位かな
アメリカの大学で1学期に取るべき単位数
秋・春学期は12〜15単位
アメリカの大学でメインとなる秋学期(Fall Semester)と春学期(Spring Semester)には、12〜15単位がおすすめです。
12~15単位は先述の1単位あたり授業1時間・自習2時間の法則に当てはめてみると以下のようになります。
私も留学中は各学期15, 16単位取っていましたが、12~15単位は成績を維持しつつアルバイトやボランティア、留学生イベントなど勉強以外の時間もとれる単位数だと感じました。
現地での生活や交流を楽しむことも勉強と同じくらい大切なので、単位の取りすぎには気をつけましょう。
特に留学1学期目は無理をせず12単位にし、2学期目以降から余裕があれば15単位前後に増やすのがおすすめです。
アメリカ留学中の放課後や週末の過ごし方はこちら
冬休みは3単位前後
大学によっては冬休み中(12月中旬から1月初旬頃まで)にも単位を取れますが、通常4か月かけて学ぶ範囲を約3週間ほどで終わらせるため、授業はかなりの速さで進みますし、1日や1週間に課される宿題はとても多いです。
冬休み中の履修は自由なので、特に事情がなければ取らなくてOKです。取るなら3単位程度に抑えておくのが良いと思います。
私は冬休みに会計学(Accounting)の授業をとったことがありますが、やはり大変でした。
毎日の授業に加え毎回小テストがあったので、毎日数十ページ分の教科書を読みながら内容をしっかりと理解しなくてはなりませんでした。
会計学だったのでエッセイ等の提出がなかったことが幸いで、科目によってはさらに大変だったかもしれません。
夏休みは総合的な判断が必要
夏休みは5月中旬から8月下旬までの約3ヶ月間で、冬休みと同じように履修は任意です。
しかし他の学期と違い、1ヶ月で終わる科目もあれば2, 3ヶ月続く科目もあり、授業期間が科目により異なるため「○単位以内は大丈夫」と一概に言うことができません。
例えば以下の図のように、同じ3科目計6単位でも、3ヶ月の科目を1つ+1ヶ月の科目を2つ取るのと、3ヶ月の科目を3つ取るのとでは大変さは全く違います。
特に1ヶ月の科目は短期集中的で1日・1週間あたりの負担が大きいです。夏休みは合計単位数ではなく、負担が1番大きくなる期間を中心に総合的に判断しましょう。
アメリカの大学の年間スケジュールはこちら
履修科目を決める時の4つの注目ポイント
履修科目を選ぶ際には単位数以外に、以下のポイントにも注目してみると良いと思います。
私が4年間の留学生活で色々な科目を取って感じたポイントなので、違う意見もあるかと思いますが、ご参考までに紹介します。
①苦手な科目は2つまで
通常の秋・春学期は苦手科目は2つまでにしておくのが個人的にはおすすめです。
1学期に12〜15単位とる場合、約4〜6科目取ることになりますが、そのうちの半分以上が苦手科目だと単純に楽しくないですよね。
また苦手科目は内容を理解するのに時間がかかるため、宿題や自習に得意科目以上に時間を取られます。授業と自習時間を合わせた勉強時間は、3単位で週10〜15時間、6単位で週20〜25時間程度と想定して、ストレスになりすぎないか考えてみましょう。
夏・冬休みは先述の通り授業期間が短く大変なので、苦手科目は取らない方が安全です。
②言語・文学系の科目は2つまで
英語(ライティング・スピーチなど)や、その他外国語、文学系科目も1学期に2つ以内がおすすめです(言語・文学系の専攻者除く)。
これらの科目は性質上、教科書や資料を読む量が多く、エッセイやスピーチといった課題も多い傾向にあります。英語が第一言語ではない留学生にとっては大変な科目のため、1度に多く取らない方が安心です。
私が取った『初級』スペイン語クラスでは、初回授業の第一声から教授がスペイン語で話し始め、文法の時間(最後の20分くらい)までずっとスペイン語で授業が進みました。
高校でスペイン語を学んでいた現地生徒は教授の話を理解していましたが、私は初回から周りに遅れをとることに。授業についていくのには予習が必須でしたし、単語の暗記にも時間を取られ、楽しかったけど大変だった科目の1つです。
一般教養科目について詳しくはこちら
③授業の時間帯
ほとんどの科目で『出席』が評価項目の1つに入っており、規定回数以上の欠席は成績に大きく響きます。朝が苦手な人は朝一のクラスを避け、午後のクラスを中心に取ると少し楽かもしれません。
また「朝の方が集中できるから大変な科目や苦手な科目を午前中に取る」など、自分に合わせて工夫してみましょう。
④教授の口コミ
口コミサイトでは教授の特徴や、評価は厳しいか、宿題は多いかといった情報が得られ、有名なのが以下の"Rate My Professors"です。
科目や教授の選択に迷った際には口コミの内容を参考にしてみるのも良いと思います。
生徒個人がレビューしたものなので、個人的な感情で書かれていたり、低評価の教授が自分には合っていたということも多々あります。あくまで参考程度にしておきましょう。
まとめ
アメリカの大学は「卒業するのは難しい」と言われていますが、やるべきことをやっていれば単位を落とすことはありません。しかし決して楽はできませんし、どの科目も相応の時間と努力が必要です。
留学初期は無理をせず単位は少なめに取り、留学生活や大学での勉強に慣れてきてから、履修単位数を増やしていくことをおすすめします。