大学留学にリーディング力って必要?
英語を読むのが遅いけど大丈夫かな?
留学準備には何をしたら良いの?
そんな不安を抱いている人のために、この記事では大学留学に必要なリーディング力と留学前におすすめの準備方法をシェアします。
〜私の経歴〜
日本の普通の高校を卒業後、アメリカの大学に進学。
4年後卒業・帰国し、現在は外資系企業にて英語を使った仕事をしています。
留学に必要なリーディング力
留学準備におすすめな多読実践方法
多読の注意点
多読におすすめの教材
みなさまの参考になれば幸いです。
アメリカ大学留学で必要なリーディング力
1週間に読む量は教科書100ページ分にも及ぶ
アメリカの大学では宿題の2/3は「読む宿題」と言っても過言ではなく、膨大な量を読みます。
毎週
・20〜30ページ分の教科書
・教科書以外の配布資料
数週間ごと
・リサーチペーパーを書くのに必要な資料
これを4〜6クラス分
授業は教科書を読んできていることを前提に進むので、授業についていくためにも特に留学生は事前に教科書を読んで理解しておくことが大切です。
また追加の配布資料や、リサーチペーパーやプロジェクトの情報収集なども含め、読むものはたくさんあります。
その他にもエッセイを書いたり、プロジェクトやスピーチの準備、テスト勉強もしなければならないので、読むものは大量にあってもリーディングにばかり時間はかけられません。
アメリカの大学での勉強や宿題について詳しくはこちら
必要なのは持久力とスピードがあるリーディング力
限られた時間でたくさん読まなければならないため、大学留学には『持久力』と『スピード』を兼ね備えたリーディング力が必要です。
①たくさん読むための持久力
読むのが好きじゃないからつい後回しにしちゃうし、読んでても10分で飽きちゃう
このように、そもそもリーディングに抵抗感がある状態では100ページ相当の量を読むのは困難です。留学前に苦手意識を払拭し、少しでも長い時間読んでいられる持久力を養わなくてはなりません。
留学前にしておきたいこと
リーディングへの苦手意識を無くす
英文を読む習慣をつける
1度に読み続けられる時間数を増やす
②限られた時間で読み・理解するためのスピード
日本語に訳しながら読まないと内容が頭に入らない
例え長時間読める持久力があっても、文構造を確認したり訳しながら読んでいては、いくら時間があっても足りませんし、速読ができても内容が理解できていなければ意味がありません。
スムーズに英語を読むことができ、かつ日本語訳せず内容を理解できる状態が理想です。
留学前にしておきたいこと
英語の語順のまま読めるようにする
日本語訳しないで理解できるようにする
リーディング力を伸ばすにはどうしたら良いの?
留学準備には『多読』がおすすめだよ
留学準備におすすめな『多読』の効果
多読とは文字通り「たくさん読むこと」ですが、留学に必要な『持久力』と『スピード』を養うのに多読はぴったりで、私が通っていた留学準備専門のスクールでも多読が取り入れられていました。
多読の詳しい進め方の前に、まずは多読の効果をみておきましょう。
多読の効果①読める量が増える
わずかな時間でも日常にリーディングを取り入れることにより、次第に英語を読むことが習慣化され、リーディングに対する抵抗感や苦手意識も徐々に薄れていきます。
また「読み始めて10分もしないうちに飽きてしまう」という人も、続けていくうちに長い時間読めるようになります。マラソンの練習で毎日走っていたら、1km, 3km, 5kmと段々と走れる距離が伸びていくのと同じです。
多読の効果
英文を読む習慣が身につく
リーディングへの苦手意識が薄れる
1度に読み続けられる時間が伸びる
多読は決して難しい本を読むのではなく、様々なジャンルから好きな本を選んで取り組めるので、飽きずに続けやすいというメリットもあります。
多読の効果②リーディングスピードが上がる
後ほど詳しく解説しますが、多読では『返り読みしない』ことと『日本語に訳さない』ことを意識しながら実践します。
始めは難しく感じるかもしれませんが、多読で回数をこなすことにより次第に『英語で読んで英語のまま理解する』習慣が身につき、結果として読むスピードが上がります。
多読の効果
英語の語順のまま読めるようになる
日本語訳しないで理解できるようになる
英文を読み・理解するスピードが上がる!
多読の実践方法と6つの注意点
多読は「たくさんの本を読む」だけですが、しっかり効果を得るために、以下の6つ注意ポイントを意識しながら実践しましょう。
①返り読みをしない
英語の文章は主語→述語→目的語→修飾語の順番ですが、日本語は反対で主語→修飾語→目的語→述語という構成です。日本語の語順で英語を読もうとすると、後ろから前に読むことになるため『返り読み』と呼ばれています。
例えば "I went shopping after lunch."の文章を日本語の語順で読もうとすると" I / lunch / after / shopping / went"(私はランチの後にショッピングに行った) となります。
返り読みは余計な時間がかかるだけでなく、複雑で長い文章では誤訳の素です。返り読みの癖は留学前に直しておきましょう。
そのためにも、多読では返り読みはせず英語の語順のまま前から読んでいきます。先程の文章だと、「私 行った ショッピング 後 ランチ」と前から順に読みながら理解していくのが正解です。
②日本語に訳さない
先述の通り留学中は1文1文日本語に訳しながら読んでいる時間はないので、英語で内容を理解できるようになっておくのがベストです。
多読をする時にも、できるだけ日本語に訳さないで読んでみましょう。始めは時間がかかっても問題ありません。
どうしてもわからない文章は、文の構成を確認したり日本語訳して読んでもOKです。
③知らない単語は前後の流れから意味を推測する
留学中に教科書や資料を読んでいると知らない単語もたくさん出てきます。しかし、全ての単語を毎回辞書で調べるわけにはいきません。
多読中も知らない単語が出てきたら、まずは前後の流れから意味を推測して読み進めてみましょう。
印をつけておき、後でその単語の意味を調べるのはボキャブラリー強化になりおすすめです。ただ、知らない単語を全部調べる必要はなく、何回も出てくるようなキー単語や、気になった単語だけで大丈夫です。
④全て理解することを目指さない
多読では全ての文章を理解する必要はありません。わからない文章や単語が時々あっても大筋を理解するのに支障はないので、『全体をほぼ』理解できていればOKです。これは留学中のリーディングにも当てはまります。
前後の流れで内容が理解できていれば、わからない文章・単語は読み飛ばしてかまいません。
⑤簡単な本を選ぶ
多読の目標はボキャブラリーを増やすことでも、難しい本が読めるようになることでもありません。単語・内容が難しい本では返り読みや日本語訳をしてしまったり、わからない単語が多くて読み進められないなど本末転倒です。
先述の①〜④のポイントを実践し効果を得るためにも、必ず簡単に読める・理解できるレベルの本を選びましょう。
具体的には、約9割以上の単語や言い回しが理解できる本、英検の教材を利用するなら自分の本来の級の1, 2下くらいから始めてみましょう。
⑥毎日読む
留学中は嫌でも毎日数時間は英語を読むことになるので、留学前から毎日少しでも読む時間をとるのが理想です。
最初から「1日1時間読む」など無理な目標を立てると挫折に繋がるため、始めは10分x2回など細切れに設定し、慣れてきたら読む時間を増やしていきましょう。
留学準備におすすめの多読教材
多読やってみたいけど、何を読んだら良いの?
いくつかおすすめの教材を紹介するね
①ラダーシリーズ
難易度:低〜高
おすすめする人:誰でも!
英語学習者のための多読用シリーズ。多読初心者から上級者まで英語レベル問わず誰にでもおすすめです。
おすすめポイント①英検4級から準1級レベルまで、対応レベルが幅広い
ラダーシリーズは英検4級レベルから準1級レベルまで5段階に分かれており、レベルが上がるごとに内容の難易度・使用される語彙が難しくなります。
自分の英語力に合った本を見つけるのは本来簡単ではありませんが、ラダーシリーズは自分が該当するレベルから本を選ぶだけで良いため、手軽に多読を始められます。
※詳しくはラダーシリーズホームページへ
・レベル1:英検4級 / 1,000語
・レベル2:英検3級 / 1,300語
・レベル3:英検準2級 / 1,600語
・レベル4:英検2級 / 2,000語
・レベル5:英検準1級 / 制限なし
多読初心者はまず自分の級の1, 2下くらいから始めてみましょう。
おすすめポイント②様々なジャンルの本が揃っている
ラダーシリーズではファンタジーやミステリー、古典、ノンフィクション、伝記など色々なジャンルの本があり、楽しく多読を続けられるという点でもおすすめです。新刊も続々と加わっています。
こんな本があります(一部)
・レベル2:銀河鉄道の夜
・レベル2:吾輩は猫である
・レベル3:シャーロック・ホームズ
・レベル3:マイケル・ジャクソン
・レベル4:SDGs入門
・レベル4:世界の重大事件
・レベル5:ビル・ゲイツ
・レベル5:レ・ミゼラブル
教科書を読む練習にもなるので、留学前にアカデミックな内容のノンフィクションを1冊でも読んでおくことをおすすめします。
②Graded Readers
難易度:中〜高
おすすめする人 ↓
・英検2級以上の人
・多読で数冊読んだことがある人
・ラダーシリーズに読みたいものがない人
ラダーシリーズのような英語学習者のための多読用シリーズは海外の出版社からも出ており、まとめて"Graded Readers"と呼ばれています。
海外の出版社なので各レベルは英検の級ごとに設定されている訳ではありませんが、特に英検2級〜1級レベルくらいの人にとっては選択肢が豊富でおすすめです。
ここではおすすめGraded Readersシリーズを2つ紹介します。
Pearson English Readers
合計300タイトル以上の豊富なラインナップ。アベンジャーズなどの映画作品もあり、ラダーシリーズで読みたいものが見つからないという人は、Pearson English Readersをチェックしてみると良いと思います。
※詳しくはPearson English Readersホームページへ
・レベル1:英検3級 / 300語
・レベル2:英検準2級 / 600語
・レベル3:英検準2級 / 1,200語
・レベル4:英検2級 / 1,700語
・レベル5:英検準1級 / 2,300語
・レベル6:英検1級 / 3,000語
こんな本があります(一部)
・レベル2:Marley and Me
・レベル2:A Christmas Carol
・レベル3:Hamlet
・レベル3:Dr. Jekyll and Mr. Hyde
・レベル4:MARTIN LUTHER KING
・レベル4:Detective Work
・レベル5:Avengers: Infinity War
・レベル5:Pride and Prejudice
※アメリカ英語で書かれた本とイギリス英語の本があります。
Oxford Bookworms Library
合計260タイトル以上。フィクションだけでなくアカデミックなノンフィクションも充実していて、留学準備の多読にはおすすめです。ノンフィクションを探す際には"factfiles"を検索キーワードに含めてみて下さい。
※詳しくはOxford Bookworms Libraryホームページへ
・ステージ1:英検3〜準2級 / 400語
・ステージ2:英検準2〜2級 / 700語
・ステージ3:英検2級 / 1,000語
・ステージ4:英検2〜準1級 / 1,400語
・ステージ5:英検準1級 / 1,800語
・ステージ6:英検準1〜1級 / 2,500語
こんな本があります(一部)
・ステージ2:New Yorkers
・ステージ2:Chocalate
・ステージ3:Skyjack
・ステージ3:Rabbit-Proof Fence
・ステージ4:Gulliver's Travels
・ステージ4:Great Crimes
・ステージ5:Sense and Sensibility
・ステージ5:The Accidental Tourist
③英検・TOEFLの問題集
難易度:中〜高
おすすめする人:誰でも
英検やTOEFLの長文読解問題はアカデミックな内容なので、大学の教科書を読む下地作りとしておすすめの教材です。
1つ1つの文章量は多くないので手軽に取り組める一方、多読としては物足りなさもあるので、ラダーシリーズやGraded Readersとの併用をおすすめします。
あくまで「多読教材」として使うので、英検なら自分の級の1,2下の級から始めてみましょう。TOEFL教材を使っての多読は英語力が高い人におすすめです。
④自分の専攻関連の書籍
難易度:高
おすすめする人:多読上級者・英語上級者
ラダーシリーズやTOEFLの教材では物足りなくなってきたという上級者は、自分の専攻に関連した本を読んでみるのもおすすめです。
教科書を読む練習になるだけでなく、専攻分野でよく使われる英語表現を学ぶ良い機会にもなります。
書籍を選ぶ際には、難易度の高い専門書ではなく、入門レベルの本を選ぶことに注意しましょう。Amazonなどで本を探す際には "Introduction to 〜"と検索してみると良いです。〜の部分には自分の専攻や学んでみたいことに関連する単語を当てはめてみて下さい。
<例>
・Introduction to interior design
・Introduction to economics
・Introduction to social media marketing
・Introduction to psychology
まとめ
留学に必要なリーディング力は一朝一夕には身につかないので、留学を決めたら早い段階で多読を始めることをおすすめします。
多読は続けることが大事なので、簡単な本かつ自分が読んでいて楽しい本を選ぶことで、挫折や飽きをうまく回避していきましょう。