アメリカでは編入する時に単位の移行が簡単にできるって本当?
ちゃんと全部の単位が移行されるの?
単位移行に関して注意するべきことは?
アメリカ留学で編入を予定しているけど単位移行が不安という人のために、この記事ではアメリカの大学での単位移行について解説します。
〜私の経歴〜
日本の普通の高校を卒業後、アメリカの大学に進学。
4年後卒業・帰国し、現在は外資系企業にて英語を使った仕事をしています。
編入のメリット・デメリット
単位の移行に関するリスク・注意点
単位を失わないための対策方法
留学中に編入制度を利用するメリットとデメリット
アメリカでは編入・単位移行の制度が整っている
日本では大学在学中の編入はレアケースかと思いますが、アメリカでは60%の生徒が編入制度を利用するという調査結果もあるほど、編入は特別なことではありません。
collegeからcollege、universityからuniversity、collegeからuniversityへの編入どれも可能ですし、基本的には編入元の大学で取った単位は編入先の大学へ移行ができます。
私も実際にカリフォルニアのcollegeから他州のuniversityに3年生で編入しました。
編入の3つのメリット
①学費を節約できる
collegeで一般教養科目を履修し、3年生からuniversityに編入して専攻科目を学ぶ生徒が多いですが、これはcollegeの方が学費が安いからです。
一般教養科目には英語・数学・理科・社会などの科目が含まれ、具体的に何単位必要かは大学や専攻により異なりますが、約2年分弱の単位数を一般教養科目が占めます。
collegeで2年分の単位を履修することで、学費の総コストを抑えることができます。
一般教養科目について詳しくはこちら
②専攻の変更に対応できる
アメリカでは入学時に専攻が決まっていなくても良いので、一般教養科目を取りながら自分の興味関心や進路についてじっくり考えることができます。
また「実際に学んでみたらイメージと違った」「将来の夢が変わった」という場合には、専攻を変更することも可能です。
例えば
看護専攻に決めたけど今の大学には看護学部がない
専攻を経済学から経営学に変えることにしたから、経営学の教育が充実している大学に行きたい
こんな場合でもアメリカでは自分の条件・希望により合った大学に編入できるので、学びたいことを諦めなくても大丈夫です。
③環境を変えて再スタートできる
渡米前に日本から知れること・イメージできることには限界があるので、渡米後には誰しもがギャップを経験します。
ポジティブなギャップなら良いですが、ネガティブなギャップにより「思っていた留学生活と違う」と感じてしまった場合は、編入が解決策となるかもしれません。
私はカリフォルニアのcollegeから他州のuniversityに編入しましたが、実は全く予定外のことでした。
カリフォルニアでは想像以上に日本人生徒が多く、キャンパスでもよく日本語が聞こえてくることが私が想像としてい留学生活と大きく違っていました。
そこでuniversityをリサーチする際には留学生の数・国別の割合などもチェックしたことで、編入後は日本人生徒がいない大学で理想とする留学生活が送れました。
編入の3つのデメリット
①手間がかかる&新しい環境に適応しなければならない
編入には大学への申込書類を揃えるだけではなく、現在の住まいの退去手続き、新しく住む場所の手配などの手間がかかります。場合によっては家具や生活用品なども編入先で改めて揃えることになるかもしれません。
また、慣れ親しんだ環境や友人から離れ、新しい環境に適応し、人間関係も新しく構築しなければなりません。編入後の大学の方が良いという保証もないので、「前の方が良かった」と感じる人も。
②単位を失う可能性がある
アメリカでは編入制度が整っているとは言え、必ずしも全ての単位が移行できる訳ではありません。
移行が認められる単位がほとんどですが、編入先側の要件を満たさないなどの理由で一部の単位が認められないこともあります。
③卒業までの時間・コストが増える可能性がある
単位が認められなかった場合は、残念ながら編入先で取り直すことになります。
移行できない単位が多ければ多い程、卒業までの時間が伸びたり、学費しいては滞在費も増えてしまいます。
得に節約目的でcollegeに通ってからuniversityに編入した人にとっては本末転倒です。
じゃあ結局編入はしない方が良いってこと?
決してそんなことはないよ。次で説明する注意点とポイントをおさえてリスクを回避しよう
ここからは編入パターンとして最も多い、collegeで一般教養科目を取ってからuniversityに編入する人向けに、具体的な注意点や対策法を紹介します。
編入時の単位移行に関するリスクと注意点
州内の大学は単位移行がしやすい
collegeでは州内のuniversityに編入する生徒のために、university用の一般教養科目リストや履修の手引き、注意事項等を公開しています。
また、どの科目の単位が移行可能かもcollegeとuniversity間で事前に取り決めがされているので、きちんと確認しながら履修していけば確実に単位移行ができるシステムになっています。
私が通っていたカリフォルニアのcollegeでは、各科目の内容や基本情報が書いてあるCourse Descriptionsに"Transfer Credit:UC, CSU" のような記載がありました。
UC:University of California
CSU:California State University
UC系列大学とCSU系列大学へ単位移行できるかが科目ごとに明記されているので、編入予定者はこれを参考に履修科目を決めることができました。
他州への編入は単位を失うリスクが州内での編入よりも高い
単位の移行が認められない場合がある
他州の大学とは単位移行の取り決めがない場合が多いため、編入先の大学側が単位を受け入れるか個別に判断していきます。
移行可能な単位が多いですが、中には認められない単位もあるので注意が必要です。
私はcollegeで取った英語とスピーチのクラスの単位が残念ながらuniversity側の要件を満たさないとのことで移行できず、編入後に取り直すことになりました。
一般教養科目の違いにより単位が無駄になる場合も
一般教養科目は州や大学ごとに分野の分け方が違い、各分野の必要単位数にも違いがあります。これにより、単位自体は移行できても結果として単位が無駄になる場合があります。
具体的な例を見ていきましょう。
例えば、カリフォルニア州立大学に編入したい人は以下の39単位をカリフォルニアのcollegeで履修することができます。
これらの単位を取った後に気が変わりミシシッピ州立大学に編入した場合、以下のように単位が移行されます。
ミシシッピでは必修の一般教養科目が33単位のため、全ての単位が移行できても残念ながら6単位取りすぎていることになります。
では一般教養科目が同単位必要なテキサス州立大学へ編入した場合はどうでしょう?
合計単位数は一緒なものの、英語と倫理が3単位ずつ余ってしまうだけでなく、アメリカ政治・歴史の分野で6単位足りないため、追加履修が必要になります。
このように、州や大学によって一般教養科目の内容や単位数が違うため、州外への編入は単位の無駄が生まれてしまいがちです。
州・大学・専攻の独自ルールも要チェック
州・大学・専攻でそれぞれ独自にルールが設けられていれることも珍しくありません。
例えばカリフォルニア州立大学では一般教養科目は48単位必要ですが、そのうち39単位がcollegeから移行でき、編入後に9単位取るルールになっています。
ルールにも以下のように様々なパターンがあり、自分に複数当てはまることもあるのでしっかり確認してしておきましょう。
独自ルールの例
最大〇単位まで移行可
〇単位以上は編入先の大学で取得
特定の科目を編入先の大学で履修
州指定の科目
専攻指定の科目
編入で単位を失わないための事前対策法
universityと専攻を決めてからcollegeを決める
こちらの方法は実行するのはなかなか大変ですが、単位を失うリスクは低くなります。
①universityと専攻を決める
↓
②単位移行の取り決めがある同じ州のcollegeに入学する
↓
③university側の自分の専攻のProgram Requirementsを見ながら、collegeで取るクラスを決める
先述の通り一般教養科目は州や大学により違いがありますし、専攻によっては一般教養科目の一部が指定されていることもあります。
自分が行きたいuniversityの必修科目リストと照らし合わせながら移行可能な単位を取ると、無駄になってしまう単位を最小限にできます。
そのためには行きたいuniversityを決めてから、同じ州内で単位以移行の取り決めがあるcollegeに入学するのがベストです。
編入先が未定なら100, 200番台のクラスを取ってシラバスを保管
留学前にcollegeもuniversityもどっちも決めるなんて無理だよ。universityは渡米してからじっくり考えたいし。
そんな人は、以下の対策を講じることをおすすめします。
①collegeに進学
↓
②州内のuniversityの一般教養科目リストを確認
↓
③リストを参考に100, 200レベルのクラスを取る
↓
④シラバスを取っておく
とりあえず同じ州のuniversityに編入するつもりで、州立大学の一般教養科目リストの中からクラスを取っていきましょう。
他州に編入することになった場合も想定し、100と200番台のクラスを取ると良いです。基礎レベルの100, 200番台のクラスは多くの大学に共通しているため、単位の移行が認定されやすい傾向があります。
全てのクラスにはコードがあり、以下のように分類されています。
100, 200番台:基礎・入門レベル
300, 400番台:専攻者向け発展レベル
<例>
ENG101(英語)
ANTH150(人類学)
HIST120(歴史)
SOC200(社会学)
また、各クラスの初回授業で配布されるシラバスは編入まで保管しておきましょう。単位の移行が認められなかった際に、シラバスを提出することで単位認定の要件を満たすか再確認してもらえる可能性があります。
まとめ
編入によって単位を失う可能性があるというだけなので、必要以上に不安になる必要も編入を控える必要も全くありません。
ですが、アメリカ留学中に編入を予定している人は、単位・お金・時間が無駄になってしまわないように、しっかり事前リサーチと対策をしておくことをおすすめします。